投稿日:2026.04.22
更新日:2026.04.22
こんにちは。大光印刷医薬品チームです。
突然ですが、貴社が公開しているPDF、スクリーンリーダーで読めますか?

インタビューフォームや添付文書、患者向けガイドなど、製薬会社はたくさんのPDFを作成・公開しています。
でも「とにかく見た目が正しければOK」と思っていませんか?
実は、PDFにもアクセシビリティという考え方があり、対応が求められる時代になってきています。
今回は「PDFのアクセシビリティって何?」というところから、具体的にどう対応すればいいかまでをざっくりご紹介します。
アクセシビリティとは、「誰でも情報にアクセスできる状態」のことです。
Webサイトのアクセシビリティはよく耳にするかと思いますが、PDFにも同じことが言えます。
視覚障害のある方がスクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を使って文書を読む場合、PDFが「ただの画像」として保存されていると、まったく読み上げられません。

製薬会社にとって、医薬品情報は患者さんや医療従事者にきちんと届く必要があります。
それがPDFで提供される以上、誰でも読める状態になっているかどうかは、無視できない問題です。
また、2024年4月には障害者差別解消法が改正され、民間企業にも「合理的配慮の提供」が義務化されました。
Webサイト上のPDFも例外ではなく、アクセシビリティへの対応は今後ますます重要になってきます。
では、実際に何をすればいいのか…代表的なポイントをご紹介します。
スキャンしてそのまま保存したPDFは「画像」なので、文字を選択することも検索することもできません。
アクセシビリティ対応のPDFは、テキストデータとして文字情報が埋め込まれている必要があります。
よくあるNGパターン:紙の文書をスキャンしてPDF化 → 見た目は文書に見えるが、中身はただの画像。
グラフや図、写真などの画像には「代替テキスト」を設定します。
スクリーンリーダーはこのテキストを読み上げるので、「図1」だけではなく「図1:〇〇患者における〇週後の奏効率を示す棒グラフ」のように、内容を説明するテキストを埋め込むことが重要です。
フォントが埋め込まれていないPDFは、環境によって文字化けしたり、正しく表示されないことがあります。
特に日本語フォントは注意が必要です。
PDFを書き出す際に「フォントを埋め込む」設定を必ず確認しましょう。
見出し・本文・リスト・表などを、見た目だけでなくデータ構造として定義することが必要です。
これを「タグ付きPDF」と呼びます。
スクリーンリーダーはこの構造をもとに読み上げ順序を判断するため、タグがないPDFは内容をうまく読み上げられません。
Adobe Acrobatなどのツールで「タグ」や「読み上げ順序」を確認・設定することができます。
PDFのプロパティに「タイトル」「言語」を設定しておくことも大切です。
スクリーンリーダーはまずこれを読み上げます。
「無題」や英語設定のままでは、利用者が混乱してしまいます。
インタビューフォームを例に見てみましょう。
このような文書には、目次・見出し・表・注釈・化学構造式など、さまざまな要素が含まれています。
アクセシビリティの観点でチェックしてみると、以下のような課題が出てきます。
| 項目 | よくある課題 |
| テキスト | スキャンPDFだと全文が画像になっている |
| 表 | 縦横の関係性がタグで定義されていないと読み上げ順がバラバラになる |
| 化学構造式・グラフ | 画像として貼り付けられているが代替テキストがない |
| 見出し | 見た目だけ大きな文字で、見出しタグとして定義されていない |
| フォント | 特殊なフォントが埋め込まれておらず文字化けする |
特に「表」は要注意です。
インタビューフォームや添付文書には用法・用量の表、副作用の発現頻度の表など、多くの表が含まれています。
これらがアクセシビリティに対応していないと、スクリーンリーダーで読んだときに数字と項目がバラバラに読み上げられてしまい、まったく意味をなさなくなってしまいます。
Webサイトのアクセシビリティについては、製薬会社でも取り組みが広がっています。
WCAG 2.1(国際的なアクセシビリティガイドライン)への準拠を目標としてWebサイトのアクセシビリティ向上に継続的に取り組んでおり、創業100周年サイトが2025年に「Webグランプリ アクセシビリティ賞」でグランプリを受賞しています。
→「中外製薬株式会社のサイトはこちら」
WCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)を基準にWebサイトを設計しており、アクセシビリティ監視ツールの導入や障害者団体とのユーザーテストも実施しています。
「6人に1人が異なるニーズを抱えている」として、WCAG 2.1のレベルAAへの準拠を目標に取り組みを進めています。
これらはWebサイト全体の話ではありますが、PDFについても同様の考え方が求められてきています。
参天製薬のアクセシビリティ方針では、PDFへの対応の難しさについても言及されており、「できるだけウェブページ本文内に情報を記載する」という代替的なアプローチも示されています。
PDFのアクセシビリティは、「視覚障害者のためだけの話」ではありません。
キーワード検索・コピー・翻訳・再利用など、すべての利用者の利便性に関わります。
製薬会社では医薬品情報を正確に届けることが使命ですから、PDFの品質を「見た目」だけでなく「読めるか」という観点でも見直していただくことを、ぜひ検討してみてください。
弊社では、PDFデータの制作・品質管理について長年お手伝いしてきました。
アクセシビリティ対応PDFへの移行についてもご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
